ラジオ 朝木劇場「猫」前半

ラジオ・ラブィート 「ひる♡らぶ」10月8日放送
ラジオ 朝木劇場「猫」前半


『最後の日の過ごし方』

猫は三年の恩を三日で忘れる。

ミイ「ねえソラ、明日どうしよっ」

ソラ「うん?」

ミイ「あーしーた、どうしよっ?」

ソラ「本当に最後だっけ?」

ミイ「そうだよー。最後。ねーねー、いっぱい楽しもうよ。ショッピングも付き合ってよね。服も今よりずっとオシャレにしなきゃー。知ってる?コーデュロイのスカートとか人気なんだよ。」

ソラ「お別れってか」

ミイ「でね、でね。グランジファッションでちょっと不良っぽいコーデなんかしちゃおうかな〜⤴︎!!なんちゃって。」

ソラ「馬鹿。」

ミイ「だって、恋人がいると夢に集中できない。やっと巡ってきたチャンスなんだよ。私は止められても海外に行く。」

ソラ「なあ、俺も一緒に行っちゃダメか?」

ミイ「だーめ、オーケストラに入団しただけじゃダメなの。皆について行くためには、毎日練習しなきゃ」

ソラ「料理、、、毎日作るよ。」

ミイ「なに。今頃になって私の魅力に気がついたの?寂しがり屋さんー!」

ソラ「こっちは真剣なんだよ」

ミイは3年付き合った恋人。
笑顔で恋人最後の日の過ごし方を話してくる。

= 過去 =

3年前。彼に振られ、雨の中、コンビニの入り口前で一人泣いていたところを、声をかけたのがきっかけ。彼女いない歴=年齢の僕には気の利いたことが言えなかったけど。

ソラ「あの、びしょ濡れですよ。ハンカチつかってください」

ミイ「悪いです。ほっといてください。ていうか警察呼びます。」

ソラ「ほっとけないです。風邪をひいたらどうするんですか?」

ミイ「私のことを心配する人なんていない。中途半端な優しをかけないで。ていうか警察呼びます。」

ソラ「君がどんな人かは知らないけど、ずぶ濡れで声をかけない人の方がどうかしてます。」

ミイ「しつこい人は嫌われるわ。ていうか警察呼びます。」

そんなはじまり。
僕は飼っていた猫がフラ〜っと居なくなってしまい、寂しさをミイに重ねていたのかもしれない
彼女はまるで捨て猫みたいに、見るもの全てを警戒していた。

ソラ「イベリコ豚の照り焼きステーキとモッツァレラのミルフィーユトマト鍋 くらいしか用意出来無いですが、よかったらうちで温まりませんか?」

ミイ「は?見ず知らずの女を連れ込もうっていうの?行くわけ。。。」

お腹が鳴る

ミイ「余ってるなら、片付けてやってもいいことよ」

ミイ(22歳)はバイオリン奏者。
元彼が所属するオーケストラの入団試験にパスをすることが前提で、音大卒業後に婚約していた
しかし、落ちてしまったミイはあっけなく振られてしまい、彼の家から追い出されてしまう。
音楽一筋だった彼女に、家事という2文字はなかった。

ゆえに、それから長期間、恋人として家に居座ることになる。
お米を洗剤で研ぐ。サボテンを1週間で枯らす。
自慢料理は水道水の水炊きだ。

高身長で黒髪の美しいミイは、バイオリンを構える姿が美しい。
しかし暗譜が苦手だ。オーディションでの最大の課題となっている。
短期記憶が得意で、気分で行動する。
そっけない態度をとった思ったら、ネットでレシピを勉強してるとキーボードの上に乗ってくる。
まるで猫そのものだ。

料理人を目指す俺にとっては、料理を食べてくれる人が居ることはありがたい。
僕のために曲を作って演奏してくれたり。辛い時は一緒に泣いてくれたり。
それだけで幸せだったんだ。

= 現代 =

ミイ「ソラのことは好きだけど、私に何を期待したの?あなたも料理人の夢を目指すタイミングじゃない。」

猫は三年の恩を三日で忘れる。でも正しいこともたまに言う。

ソラ「知ったような口を聞くなよ。どうせ明日、他人になるんだ。もういい。」

ミイ「あ、そう。明日はイベリコ豚の照り焼きステーキとモッツァレラのミルフィーユトマト鍋、忘れずに作ってよね。」

ミイはプイッとして眠ってしまった。
彼女のつけるドルガバの匂いが部屋中に充満している。

美味しかった食べ物のことはしっかり覚えてるんだな。

最後の日がやってきた。

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