いつもの朝。雨足が相当強いらしく、アラームより先に目が覚めた。
台所から妻が朝食を作る音が聞こえてくる。
この繰り返しは何度目だろう。
椅子に座って
俺「おーい。レモンとって」
妻「それくらい自分で取りなさいよ」
俺「今忙しいから。」
妻「何よ、もう。忙しいから?昔は私のこと助けてくれたじゃない。ジャムの蓋も開けてくれたし、ゴミ出しだってしてくれたじゃない。
ずっと大切にするって約束したじゃない。あなた約束したじゃない。」
俺「俺が稼いでるからお前も息子も食べていけるんだぞ!細かいことをやるために俺はいるんじゃない。第一、なんだ通販番組で毎日買い物ばかり。ショッピングくらい頭と体を使え!」
妻「しかも私のこと裏切った。」
俺「さあ、何のことだか」
妻「信じられませんね。素直になればいいものを、あなたは隠し続けた。うまくいけば不倫を楽しめたと思い込んでいる。」
俺「だから知らんと言ってるだろう。知らないものは知らないの」
今朝もルーチンの喧嘩。
新婚のころは甘い日々を過ごしてたのに、あれから15年。
苦々しい日々を過ごしている。
朝早くから仕事に送り出してくれる妻には感謝している。
浮気の疑いがかけられてから、きっとお互い素直になれないんだ。
いつもごめんを言うタイミングを逃していた。
でも、明日もいつもの朝が来ると思っていたんだ。
「ごちそうさま」も言わず足早に家を出た。
外はゴリラゲイ雨いや、ゲリラ豪雨で水浸しの状況だ。
最初の曲がり角に差し掛かった時に雷が。。。
俺「あれ、俺死んだ?」
鈍痛とともにゆっくりと暗闇に意識が吸い込まれていく。
ああ、ごめんねが言えなかったな。
・・・・・
次の瞬間、家に戻っていた。
いつもの朝だ。夢にしてはリアルな感触だったな。
椅子に座った。
俺「おーい。レモンとって」
妻「はい、あなたの好きなレモン。丸かじりで食べるなんて、男らしくて ス・テ・キ❣️」
俺「お、おう」
妻「あなたの大胸筋と上腕二頭筋に挟まれながら、今夜もまた最高の夢がみた~い」
あれ、何だか優しいし、妻の顔が若い。
どうしてだ?
洗面所の鏡を見て驚く。
俺の顔も若い。
慌てて新聞を見ると
2005年9月24日。。。
朝食を食べて本棚に隠してあった、昔同人をやってた頃に書いたBL本を見つけて隠す。
カバンの中に入っていた、会社同期の女性からもらったキーホルダーと手紙も隠す。
いや、俺がアプローチを断ってたから勝手にカバンに入れられたんだ。
これが見つかって、険悪になったっけ。
もしかして、昔の自分を助けるためにワープした?
でも何故。
妻「あ・な・た、今夜も覚悟していてね❣️」